診断士じみへんのアパレル業界独り言

アパレルの経営、会計、税務に関する話

【ビジネスモデル】謎のファッション越境EC SHEINはどこまで成長するのか?

11月18日


SHEIN
https://jp.shein.com/
は、中国ファッション越境EC企業で、売上高2兆8千億円とZARAに次ぐ規模感と言われる。2012年から北米中心に成長し、現在、150か国に展開。日本でもショールルーミング店舗を地方、大阪に設け、11月12日は東京原宿にも常設店舗がオープンした。
尚、中国では展開していない。これは中国では、既に様々な市場等で安価な商品が販売されているからである。
また、AIやSNSを積極的に活用しているテック企業である。しかし、非上場企業のため、なかなかその実態が見えて来ない。
その中で、SHEINの商品展開について分析したい。

SHEINの商品展開で分かっていることは以下である。
①毎週1,000品番を展開。初回、1品番100~200点を生産し、オンデマンドで量産。製品は、残反を使用し、企画から納品まで2~3週間でのQR生産と、余剰在庫を安価に買い付け、ブランドネームを付け替えて販売するバイイングの2ルート。最終消化率は90%以上。QR生産では、中国のPLMアプリがバックボーンになっている模様。このアプリは、工場の生産管理、卸販売の大きく分けて、2つの機能を持ち、某グローバルITカンパニーでINDITEX(ZARA等)の生産システムを開発していたメンバーが立ち上げた会社。ユニコーン企業として、かつてスキャンダル等でも話題になった、インドの中小零細工場のプラットフォームであるZILINGOに似たようなシステムである。昨今このようなテック企業は中国を中心に様々出てきている。
広州製品、生地市場の機能も活用しつつ、数千の縫製工場と取引。但し、広州製品市場には模倣品も多数あり、品質でのばらつきも大きい。

②佛山のSHEINのDC倉庫では、2019年の古い情報ながら、約3000万点、約40~50万SKUを管理しているとのこと(現在はさらに増えていると考えられるが非常に大きな倉庫と思われる。)。その他、香港、デリー、ベルギー、アメリカの東部と西部に通貨物流倉庫有り。日本向けは、YTOエクスプレス等の中国の物流会社経由、国ごとにまとめて発送し、佐川等が顧客までの配送を担当する。発注から約1週間程度での到着となっている。送料の負担も2,000円以上は発生せず、国内アマゾン並み。日本は16,666円以下であれば輸入関税、消費税が発生せず、超えた場合も暫定的にSHEIN負担の模様。

SHEIN、中国広東省の中小アパレル、雑貨卸製造の集積やそれを元に発展してきた広州の市場の背景を生かし、圧倒的な低コストとスピードが売りで成長してきたと言える。日本のアパレルもこれまで、韓国東大門、香港シャムシュイポー、雑貨では、義鳥等の市場の機能を活用し、これまで調達してきたが、BtoBに限られていたものの、SHEINはそれをBtoCに活用した点が斬新と言える。広州の市場はこの10年で、世界で最大の卸市場になったが、賃金の状況等、今後、ベトナム等東アジアに生産拠点の移管が進んだ場合、物流の前提条件が崩れるため、中期的にどこまでこの商品の供給体制が維持できるのかが気になるところである。